2009.04.21 BLOG はとぽっぽ・・・ こんな場面に遭遇した・・・ 「鳩の事故」 マナーの悪いドライバーが、道路上にいた数羽の鳩に突っ込んだ結果の出来事。 その内の一羽が逃げ遅れ、最悪の結末は免れたものの、ある意味”命”の羽を怪我したようで 片方の羽はダラリと痛々しく、少し血も出ていた。 空に生きる鳥にとって致命的な怪我。 処置をしなければ、結果的に死は免れない。 何も出来ないながらも、数メートル先にいる飛べなくなった鳩を このまま見過ごすのは・・・と、色んな感情が入り混じる。 そんな中、モタモタと何を悩んでいるかも分からない私の横を 制服を着た、園児が駆け抜けていった。 「お母さん!鳩生きているよ!!」・・・と。 この子もどうやら目撃していたようだ。 その子は鳩を躊躇うことなく抱き抱え、母親の所に走っていった。 「ほら、鳩生きてる。痛そうだよ。」 何とも情けない自分に苛立ちながらも、心優しいこの園児の行動に 嬉しさのようなものも感じた。 しかし、次の瞬間この子の母親から出た言葉はたった一言・・・ 「捨ててきなさい!」だった。 確かに、野生の動物はウィルスなどを持っているかもしれない・・・。 どこか汚い場所も歩いていたかもしれない・・・。 もしかしたらこの母親は、鳩=鳥=鳥インフルエンザという連想のもと、 瞬間的に出た”我が子を守るべくして出た言葉”なのかもしれない。 色んな事情だってあるだろう。 「命を育てる」・「命を守る」・・・これらは想像以上に大変な事であり、大切な事だと思う。 キレイごとではない覚悟のモト、我が子を守っているこの母親に意見など私は出来ないが この園児はどう感じたのだろうか。 少なくとも鳩を”命”と思っているからこその行動だったと思う。 助けたから”善”、助けなかったから”悪”という単純なものではないのはわかる。 しかし、目の前の命を「捨てる」と言われたこの子はどう感じるものか。 大人の複雑な事情や、感情までは理解できるとは思えない。 この少なくとも”純粋”な男の子は大泣きしていた。 理由もよく分からず、引きはさなれそうな鳩を抱えて。 様々なことを考えさせられる現場となった。 私は幼少時、世田谷公園でよく鳩に餌をあげていた。 とてつもない数の鳩が私を囲い、全身鳩まみれみたいなこともあった。 時代も違えば、環境も人それぞれで、比較にも参考にもならないのだが この泣いている子を見て、複雑な思いになった。 そしてこの”鳩の現場”にはもう少し続きがある。 男の子の泣き声でか、偶然か一人のおじいさんがどこからかやってきた。 明らかに慣れた手つきで鳩を抱きかかえ言った・・・ 「鳩は強いから大丈夫!」 鳩の救世主なのか、園児の救世主なのか・・・ヒーローの出現。 園児はにっこりと”おじいさんヒーロー”に全てを託し、安心した風に見えた。 そして「治してあげるから大丈夫だよ!」と言って、さら~と”ヒーロー”は居なくなった。 カッコいい・・・鳩も園児も救ってしまった。 正に”ヒーロー”だ。 「捨てる」と言った大人・・・。「治す」と言った大人・・・。 ただ見ていただけで終わった私(大人)。 この子には改めてどう映ったのか・・・内容の濃い数分間だった。 Share 前へ 一覧へ戻る 次へ